最高裁判所第一小法廷 昭和32年(ク)190号 決定 1957年9月26日
主文
本件抗告を却下する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
最高裁判所が抗告に関して裁判権をもつのは、訴訟法において特に最高裁判所に抗告を申し立てることを許した場合に限られ、民事事件については、民訴四一九条ノ二に定められている抗告のみが右の場合に当る。本件抗告理由を按ずるに、競落許可決定の言渡前になされた競落許可決定に対する抗告の申立は不適法であつて、たとえそれが不適法として却下されない間に、抗告をなした者に不利益な決定が告知されても、右抗告申立は適法とはならないと解すべきであるから(昭和二三年(オ)第一一一号昭和二四年八月一八日第一小法廷判決参照)、この点に関する原決定の判断は正当であつて、所論憲法違反の主張の実質は、上記の点に対する原決定の違法を攻撃するにとどまり、前記民訴四一九条ノ二所定の場合に当らないと認められる。よつて、本件抗告を不適法として却下し、抗告費用は抗告人の負担とすべきものとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)